危ナイ隣人
「ヤツ?」


お隣さんの目の色が変わった。

切れ長の目に鋭さが増して、真剣な表情になる。


えっ、何その顔! 悪い血が騒ぐとか、そういうやつ!?



「と、とにかく! ウチに来てくださいお願いします!」



人間も怖いけどヤツも怖い。迷惑ついでに頼ってしまえ。

渋々出てきてくれたお隣さんの後ろに隠れて、404号室に戻る。


お隣さんはスリッパを脱ぎ捨てて、迷うことなく廊下を突き進んでいった。


どっち? って聞かれて、リビングの方を指差して。

扉を開けると、発見した時とは違うところだったけど、ヤツは部屋に留まっていた。



「ヤツって、コレ?」


「そう! それです! お願い殺して!」



セリフだけ聞くと、なんとまぁ物騒なことでしょう。


この声他の住人に聞かれてたら、警察呼ばれかねないなぁ……。



「……ウソだろ、ゴキブリ如きであんな騒げんのかよ」


「ゴ、ゴキブリ如きって! こっちは死活問題なんだから!」



あぁ、名前を口にするだけでもおぞましい。ゾッとする!
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