危ナイ隣人
その場にいられないことは悔しかったけど、それが何よりも嬉しかった。



入学して半年くらい経って、大学生活に余裕が持てるようになってからは、私も時々地元に帰るようになった。

まとまった時間とお金があれば、だったけどね。


憎まれ口を叩く直也に私が噛み付いて、それを圭太が面白そうに眺めてるの。

その空間が、私はすごく好きだった。





緩やかに穏やかな関係性のまま──あの日はやってきたわ。

ホワイトデーの前日の……雪が静かに降る日だったよね。



翌日のホワイトデーに会う約束してたんだけど……あの時、圭太とちょっと気まずかったのよ実は。


ふふふ、喧嘩ってわけじゃないんだよ。

ただ……私が拗ねちゃって。


だから、ホワイトデーの予定を聞かれた時も、まんまと予定を立てちゃった時も、嬉しさよりも悔しくて。

ただ悔しいだけでいられない自分にも悔しくて、歯痒くて、やっぱりちょっと、そわそわした。


どんな顔して会おう。

そんなことを考えてた時だったわ、──高校時代の友達から電話があったのは。
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