危ナイ隣人
『京香って、真木直也と仲良かったよね?』



久しぶりに聞く旧友の声は、電話の向こうで剣呑にひそめられていた。


記憶を辿っても彼女と直也の繋がりに心当たりはないけど、直也のことを一方的に知ってても不思議じゃないと自分の中で落とし込んで、私は会話を続けることにした。



『うん、仲良いよ。今もたまに会ってる』


『え? ……だったら、見間違いなのかな』


『直也がどうかしたの?』


『間違い、かもしれないんだけど。さっきね──』



自信なさげに放たれた言葉は、私には確信を持って届いた。


わかった、ごめん、知らせてくれてありがとう。

それだけを彼女に残して、通話終了のボタンを押した右手は震えてた。


頭がぐちゃぐちゃのまま、圭太に電話をかけた。

その頃にはもう、気まずさなんか微塵も感じなかった。


圭太はすぐに電話に出た。

名前を呼んだ私の金切り声で、只事じゃないことは圭太も察したみたいだった。



私は、気持ちが急くままに矢継ぎ早に事態を説明したわ。


高校時代の友達から連絡があったこと。

その彼女が、高校の最寄駅の近くのコンビニ付近で、直也がガラの悪いヤツらに絡まれているところを見たと教えてくれたこと。
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