危ナイ隣人
ドキッとした。



『責めないでいい。君のせいでもない。通報なんて、現場を知らないで簡単に出来ることじゃない。だから、圭太は自分で行くと言ったんだ』



息が詰まるような感覚と共に目を見開いた私に、2人の視線は痛かった。

チリチリ痛んで、堰が切れたように涙が溢れた。


大好きだった人が死んだ。

ずっと傍にいたのに、これからもいたかったのに、もう、二度と会えない現実。


心のどこかで思っていた。

圭太の死の引き金を引いたのは私だと。


そう思って、だけどどこか現実を受け入れられなくて、感情を上手くコントロール出来なくて。


でも──現実なんだ。

圭太はもう、この世界のどこを探してもいないんだ。

好きだって、伝えることさえ叶わないまま。


一旦その事実を飲み込んでしまえば、後はもう涙しか出てこなかった。



最愛の息子を失ったご両親の前で、私と直也はわんわん泣いてしまった。

全身の水分がなくなってしまうんじゃないかってくらい泣き続けて、最後には声も枯れた。





圭太のいない毎日は無情にもやってきて、私達は日常の中に引きずり戻された。


雪解けの春が来て新緑が辺りを彩り始めた頃、直也から連絡が入った。
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