危ナイ隣人
【大学には進学せずに、救助隊を目指そうと思う】



久しぶりの直也からの連絡は、突拍子もない決意表明で、私は少し面食らった。



【この数ヶ月、色々考えたんだ。

圭太の親はああ言ってくれたけど、やっぱり俺は、圭太を殺したのが自分じゃなかったとは思えない】



慎重に、言葉を選んで送られてることが伝わるメッセージ。



【これが償いになるなんて思ってない。けど、圭太にもらったこの命で誰かを助けられるなら、少しは生かされた意味になるんじゃないかって】



明るかったはずの未来は絶たれた。

それでも、光を失った未来に意味を見出そうとして、考えて、考え抜いて、アイツは今の道を歩くことを決めたの。





あれから、もう7年になるのね。


高校を卒業して消防士になってからも、念願の救助隊に入ってからも、直也は多くの人を救ってきたはずだけど、アイツはまだ自分自身を許してない。


今もまだ暗闇の中でもがき苦しみながら、自分が生かされた意味を問い続けてるわ。




長くなってしまったけど、これが全て。


これが、私が知る2人の話よ──。





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