危ナイ隣人
「言うかよ」



フッと口角を持ち上げたナオくんを久しぶりに見たけど、絡まない視線が胸をギュッと締め付ける。


でも、ここで逃げちゃダメだ。



「ごめんね、疲れてるところ。でも、どうしてもナオくんに会いたくて」


「…………」



もう。

ナオくんってば、大人なんだから上手く隠してよ。


俺は話したくない、逃げ出したいって、顔に書いてる。



「逃げてもいいよ? そしたら私、朝から晩までナオくんちの前で張り込んでやるから」


「ほんとにやりそうだから怖えーわ」


「私のことよくわかってんじゃん」


「あれだけ連絡来てちゃな」


「ブロックしたんじゃなかったんだ。既読もつかないからてっきりブロックされたのかと思ってたよ」



ナオくんが私の前からいなくなった時から、私は幾度となく連絡を入れてきた。

通知すごいことになってんじゃないの。


それでもなお無視してたなんて、一周回って面白くなってくる。


ケタケタ笑ってやると、ナオくんは気まずそうに俯いて頭を掻いた。
< 281 / 437 >

この作品をシェア

pagetop