危ナイ隣人
「……ナオくん、」


「止めてくれよ、そんなことアイツは望んでない、なんて言うの」



私の声を遮って、ナオくんは渇いた笑みを浮かべる。


表情筋の使い方、ヘタクソだね。



「そんなつまらないこと言うわけないじゃん」


「……え?」



私が言うと、ナオくんは驚いた様子でこちらを見た。


あっというような表情をしたけど、もう逃がさない。



「ナオくんがどう生きようとナオくんの勝手だもん。7コも下の私がとやかく言うことじゃないでしょ?

実際、ナオくんがいなかったらお兄ちゃんは死んでなかったわけだし」



口角を持ち上げて言ってやると、ナオくんの目が大きく見開かれた。


不意打ちを喰らった、そんなカオ。



「それは事実として存在してるんだと思うよ。

でも、ナオくんがどんなふうに思っていようと、私はナオくんがいなきゃよかったなんてことは絶対に思わない」



ナオくんの瞳の中の私は、一体どんな顔をしてるんだろう。
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