危ナイ隣人
ふかーい溜め息を吐いた塚田くんが、ギロリと近藤を睨みつけた。


それも束の間、再び小さく息を吐いた塚田くんが席を立つ。



「行こう、御山さん」


「えっ、いいの!?」


「不本意だけど。コイツ、この調子じゃ動きそうにないし」


「昴ってばよくわかってんじゃん」



近藤による2回目のお調子攻撃は、華麗なスルーが決められる。


塚田くんが自動販売機の方に歩き始めたので、私も慌ててその後に続いた。



「……何笑ってるの、御山さん」



隣に並んで笑みを抑えられないでいると、塚田くんが不思議そうに首を傾げる。


気を悪くしたなら申し訳ない。

そう思ったけど、様子的にそういう感じじゃないっぽい。


だったら言っちゃえ。



「塚田くんって、なんだかんだ近藤のこと好きだよね」


「えっ?」


「今だって、ちゃんとコーラ買ってきてあげようとしてるしさ」


「それは……アイツが動く気配なかったから」



眉間に皺を寄せつつ、顔をしかめつつ。


でも、その本心を見抜くことができる程度には、塚田くんとも仲良くなった。
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