危ナイ隣人
「御山さん達も仲良いじゃん」


「真帆とくるみ?」


「そうそう」



食堂の入り口付近にある自動販売機にたどり着き、塚田くんが初めにコーラを買う。


私も3台ある自動販売機の中から吟味しつつ、口を開く。



「2人は特別だからねー。塚田くんにとっての近藤と同じ。わかるでしょ?」


「……その説明は素直に受け入れたくないけど、なるほどね」



色眼鏡で見られがちな私を、2人は真っ直ぐに見つめてくれる。


普段だって……ナオくんのことだって、2人は静かに聞いてくれた。

何も言わず、ただ傍にいてくれた。


2人の存在は私の中ですごく大きくて、大切。



「もちろん、塚田くんも近藤もね」



芯を持った声で私が言うと、小銭を投入していた塚田くんの手がぴたりと止まる。


視線を向けると塚田くんは少し驚いた顔をしていて、指先からすり抜けた小銭が胴の中で鈍く音を鳴らした。



「びっくりした。御山さんがそんなこと言うなんて」


「普段は血も涙もない女って?」


「そうじゃないよ」



私のおふざけは、塚田くんの小さな笑いになった。
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