危ナイ隣人
「さびしかった。……さびしかった、さびしかったさびしかった……っ」



降り始めた雨のように、感情が次々に溢れてくる。



「ナオくんのバカ。となりに住んでるはずなのに会えないし、連絡とってくれないし、もう二度と姿見せないとか言うし……っ」


「……うん。ごめん」


「かなしかった。だいすきなのに会えないの、くるしかったよ……!」



重ねた時間以上に好きになっていたあなたのこと。


色々問題はあるかもしれない。

けど、この気持ちさえあれば、あなたを選ぶことが間違いになることはない。



「すき……っ」



初めて伝える思いの丈は、緊張よりも先に、口を衝いて出た。



「ナオくんのこと……男の人として、すきだよ。

ナオくんも同じ気持ちでいてくれてるって、信じてもいいの……?」



力強く私を包み込んでいたナオくんの体温が、解けてゆっくりと離れていく。


近距離で視線が絡んで、ナオくんはくしゃっと笑った。
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