危ナイ隣人
「若いから回復スピードも速いだろうってさ。来週病院に診てもらいにいくけど、経過観察で終わると思うよ」


「そう。ならよかった」


「うん。だから2人とも、心配しないで戻ってね」



にっこりと笑ってみせると、2人は少し驚いた様子で顔を見合わせた。


わかりやすいなぁ2人とも。



「私のことが心配だって、お母さんだけ日本に戻ってくる話でもしてたんでしょ」


「なんでそれ……」


「だてに娘やってませんから」



目を丸くする2人に、軽快なピースサインを向ける。



「私のことは気にしないで。よくわかんないけど、お母さんが向こうにいたほうが何かと都合いいんでしょ?」


「それはそうだけど……」


「心配しないでよ。わりとうまく1人暮らしやってるんだよ?」



序盤は大失態を犯したけど、というのは心の中だけで付け足しておく。



「沢山考えて、お父さんと一緒に行くことにしたんじゃん。もうこんな心配かけるようなことしないからさ、私のことは気にしないでよ。ね?」


「茜……」



お母さんが何か言いかけたところで、テーブルの上に置いてあった私のスマホが短く鳴る。
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