危ナイ隣人
画面を見ると、通知はナオくんからだった。



【今から行く】



いつも通り、用件だけの短い文面。

だけど、今回のそれはいつもとは少し違う。


バクンと心臓が跳ねて、心拍数が一気に速くなったのがわかる。



「茜?」



お母さんが怪訝そうに顔を覗き込んできて、ハッと顔を上げた。


それとほぼ同時に、



──ピーンポーン……


一室に鳴り響いたインターホンの音。



「あら、誰かしら」



お母さんが徐に立ち上がろうとするところを、慌てて制す。



「私が出る。待ってて」


「でも、足怪我してるのに……」


「大丈夫だから」



左足を引きずりながら、玄関へと向かう。


鍵を開けて玄関扉を開けると、扉の向こうには黒いポロシャツを着たナオくんが立っていた。



「仕事お疲れ様。珍しいね、ポロシャツなんて」


「こういう時くらいはなぁ。むしろスーツじゃなくて大丈夫なのか不安だよ」


「スーツはやめてって昨日言ったじゃん。結婚の挨拶じゃないんだから」


「そりゃそうだけど」
< 322 / 437 >

この作品をシェア

pagetop