危ナイ隣人
緊張気味のナオくんを404号室へ招き入れる。
「大丈夫?」
「あぁ」
短い会話のあと、先導して廊下を歩く。
リビングの扉を開けると、何やら2人でスマホを覗き込んでいたお父さんとお母さんの視線がこちらに向いて、──その瞳がナオくんの姿を捉えた。
「君は──」
ナオくんはリビングに足を踏み入れるなり腰を折り曲げて、深々と頭を下げた。
その様子を横目に、私もお父さん達に向き直る。
「紹介するね。隣の部屋に住んでる、真木直也さん」
「真木です。ご無沙汰してます」
ナオくんの声は凛としていて、意思の強さが感じられる。
だから私も、背筋を伸ばしてお父さんとお母さんに話をすることができるよ。
「消防署で救助隊員をしてて、今回の火災現場から私を助けてくれた人なの。他にも、前から色々と助けてもらったりもしてて。私の恩人で……私の、好きな人」
私の言葉を、驚くでも怒るでもなく静かに聞いている。
静けさの中で部屋に差し込むオレンジ色が一層濃くなったような気がしたけれど、昨日触れたオレンジ色の方が鮮やかだったと思う。
「大丈夫?」
「あぁ」
短い会話のあと、先導して廊下を歩く。
リビングの扉を開けると、何やら2人でスマホを覗き込んでいたお父さんとお母さんの視線がこちらに向いて、──その瞳がナオくんの姿を捉えた。
「君は──」
ナオくんはリビングに足を踏み入れるなり腰を折り曲げて、深々と頭を下げた。
その様子を横目に、私もお父さん達に向き直る。
「紹介するね。隣の部屋に住んでる、真木直也さん」
「真木です。ご無沙汰してます」
ナオくんの声は凛としていて、意思の強さが感じられる。
だから私も、背筋を伸ばしてお父さんとお母さんに話をすることができるよ。
「消防署で救助隊員をしてて、今回の火災現場から私を助けてくれた人なの。他にも、前から色々と助けてもらったりもしてて。私の恩人で……私の、好きな人」
私の言葉を、驚くでも怒るでもなく静かに聞いている。
静けさの中で部屋に差し込むオレンジ色が一層濃くなったような気がしたけれど、昨日触れたオレンジ色の方が鮮やかだったと思う。