危ナイ隣人
「突然お邪魔して……驚かせてしまって申し訳ありません。


今日は、お2人にお話があってお邪魔させていただきました。
久々の家族の時間だということは承知しているのですが……少しだけ、聞いていただけませんか」



ナオくんの口からは聞いたこともないような、丁寧な言葉遣い。


規律とか厳しいはずの消防署で何年も務めているだけはあるな、さすがだな、なんて。

私は一体どの立場なの。



「茜」


「っ……はいっ」



口を噤んでいたお母さんに静かに名前を呼ばれて、思わず肩が跳ねた。


緊張してないつもりでいたけど、声が裏返りかけたことが全てを物語っている。



「お茶をもう一つ入れてくれる? 腰を落ち着けて話しましょ」


「あっ、うん!」



足をぴょこぴょこ引きずりながらも、私は奥のキッチンへ。


真剣な面持ちのお母さんの誘導で、ナオくんはテーブルを挟んで2人の正面に腰を下ろした。



グラスにお茶を注ぎながら、3人の様子を窺う。



正面って……ナオくん若干表情強張ってるし!


いくらなんでも、そりゃ緊張するよね!?
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