危ナイ隣人
「悲しかったし、苦しかった。

でも私も、2人と同じように、ナオくんが悪いとは思わなかった」



お兄ちゃんの行動は、信じた道は、間違ってなかった。


そう、迷うことなく言えるよ。



「去年、このマンションに引っ越してきて、隣に住むナオくんに出会って。

すごく頼りになるところとか、人のために命を懸けて仕事に取り組むとことか、本当に尊敬してて」


「茜……」


「沢山悩んで、沢山苦しんで、今のナオくんになった。そんなナオくんのことを、私は好きになったの」



けして完璧人間じゃない。


だらしない部分も沢山ある。……ほんとたくさん。


でも、だからこそ愛おしい。



「だから……ナオくんの傍にいることを、許してください」



ナオくんに負けないくらい頭を下げて、(こいねが)う。


切なる願いは、たった一つだ。



「……顔を上げなさい、2人とも」



静かな部屋に、静かな低音が響く。


促されて、おずおずと顔を上げると……2人はやれやれといった様子で私達を見ていた。


何を言われるんだろう。

非常識とか? 認めないとか?
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