危ナイ隣人
きょとんとする私に、お母さんが耳打ち。



「娘を他の男性にやるのは、父親として素直に喜べないものよ」



あ、あぁ、そういう……。

改めて自分が今置かれている状況を把握して、顔がカッと熱くなった。


お父さんとお母さん、更にはお父さんの恩師を前にして、この人と交際させてください! って言ってるんだもん。

歳の差や特殊な事情があったから、こうして挨拶することが当たり前みたいになってたけど……この状況、めちゃくちゃ恥ずかしくない!?


しかも、私はまだ高校生。

お父さんの心境は、きっとすごく複雑だよね……。ゴメン、お父さん。



ゴホン、とひとつ咳払いをして、お父さんが私達2人に向き直る。

その瞬間、私もナオくんも、自然と背筋が伸びた。



「大人と高校生だという立場を理解して、節度を守るなら、反対はしない」


「私達が焚き付けちゃったようなものだしねぇ」


「……おい」



オホホホ、と軽快に笑うお母さんに、話の腰を折られたお父さんはがっくり肩を落とす。


ちょっとちょっと、お母さん。

私達今、襟を正し直したばっかりだってば。
< 341 / 437 >

この作品をシェア

pagetop