危ナイ隣人
私がゴーサインを出すと、びゅん! とキッチンに飛んでくる、まきなおやくん(25)。


おかしいな。伸びてた髪切って、大人っぽくなったはずだったんだけどな。



「では、改めて。誕生日、おめでとうございました」


「ありがとうございました」



様々な手料理が並んだローテーブルを前に横並びになって、片手に持ったシャンパングラスをカチンと合わせる。

高校生の私と、壊滅的にアルコールがダメなナオくん。中身は揃ってブドウジュースです。



夏休みの折り返しが見えてきた8月上旬。

今日のご飯は、先月の28日が誕生日だったナオくんの、振替誕生日ディナーだ。


ナオくんの仕事が少し立て込んだことと、学校の夏期講習が重なって、1週間ほどずれ込んでしまった。



「25歳かぁ。あ、もしかして、アラサーってやつ?」


「困るわー。渋みが加わって、ますますイケメンになっちまう」


「お巡りさん、どこですか? 色々と迷子の25歳児がいまーす」


「おいこら、誰が人生迷子だ」



ふざけた私の脇腹に、左隣から肘打ちが入る。

もちろん軽いやつ。痛くはないけど、フォークで刺そうとしたトマト、逃げたんですけど。
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