危ナイ隣人
退院してから今日までの間にも一緒に過ごす時間はあったけど、私が課題に追われてたり、ナオくんが疲れ切ってたりで、恋人だって実感する機会がなかった。

でも今日はなんだか違って、不思議とナオくんが近く思えて。


そしたら急に、いつも通りが出来なくなった。



「もうやだ。私ばっかり、緊張してる……」



恥ずかしい。情けない。

こんな子どもじみたこと、言いたくなかった。



「ふはっ」



視線を落としていた私の目の前で空気が震えて、思わず目を見張ると、すぐそこでナオくんが肩を震わせていた。


な……っ!



「なんで笑ってんの……!? 私がやっとの思いで告白したってのに!」


「悪い、バカにしたわけじゃねーんだ」


「バカにしてないなら何なのさ!」



まさか笑われるだなんて思ってなかった。

おかげで涙も引っこんだわ!


憤慨する私を見て、ナオくんが困ったように口角を上げる。



「ほんとにバカにしたわけじゃねーんだって。ただちょっと……可愛くて」


「……へっ!?」



予想もしなかった返答が来て、思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。


今、なんて……?



困惑する私の手を再び取って、ナオくんが自分の胸元に持っていく。

そして、彼の鍛えられた胸に、そっと重ねられた。



あ……。



「別に慣れてねぇよ。俺だって、すっげぇ緊張してる」



掌から伝わる鼓動は、私の心臓と同じリズムを刻んでいる。
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