危ナイ隣人
中庭の方から、賑やかな音が聞こえてくる。
けど、私達が今いるこの空間は水の落ちる音も響きそうなほどに静かで、感情を隠す隙間を見つけられない。
「我慢、してるの……?」
予想の斜め後ろから飛んできた言葉を思わず拾い上げると、綺麗にセットされた黒髪が忌々しそうにかき乱される。
「我慢してるに決まってんだろ! 好きな女なんだから!」
……え。
半ばやけくそに放たれた告白は、私の顔を真っ赤に染め上げるには十分だった。
「好きで付き合ってんだから……際限なく触れたいって、そう思うのが普通だろうが」
「っ!」
「……でも、ご両親にも誓ったんだ。大人として、分別は守るって。
あの約束がなくたって、俺達は恋人である前に、17歳の子どもと25歳の大人だ。
お前が制服を着てる間は、何があってもそのラインは越えられない」
肘までまくられた袖から伸びる鍛え上げられた腕は、私よりも何周りも太くて逞しい。
ここに達するまでにナオくんが費やしたであろう時間を、私はまだ生きていない。
私の恋人であるよりも前に、ナオくんは大人。
……こうして、私の失態をも受け入れようとしてくれるくらいに。
誠実でいようとしてくれるナオくんに、私はなんてことをしてしまったんだろう。
「ごめんなさい。もう絶対、ナオくんの信頼を裏切るようなことはしない。嘘だって、絶対に吐かない」
「……そうしてくれ。俺だって、これから先も無条件にお前のことを信じたい」
けど、私達が今いるこの空間は水の落ちる音も響きそうなほどに静かで、感情を隠す隙間を見つけられない。
「我慢、してるの……?」
予想の斜め後ろから飛んできた言葉を思わず拾い上げると、綺麗にセットされた黒髪が忌々しそうにかき乱される。
「我慢してるに決まってんだろ! 好きな女なんだから!」
……え。
半ばやけくそに放たれた告白は、私の顔を真っ赤に染め上げるには十分だった。
「好きで付き合ってんだから……際限なく触れたいって、そう思うのが普通だろうが」
「っ!」
「……でも、ご両親にも誓ったんだ。大人として、分別は守るって。
あの約束がなくたって、俺達は恋人である前に、17歳の子どもと25歳の大人だ。
お前が制服を着てる間は、何があってもそのラインは越えられない」
肘までまくられた袖から伸びる鍛え上げられた腕は、私よりも何周りも太くて逞しい。
ここに達するまでにナオくんが費やしたであろう時間を、私はまだ生きていない。
私の恋人であるよりも前に、ナオくんは大人。
……こうして、私の失態をも受け入れようとしてくれるくらいに。
誠実でいようとしてくれるナオくんに、私はなんてことをしてしまったんだろう。
「ごめんなさい。もう絶対、ナオくんの信頼を裏切るようなことはしない。嘘だって、絶対に吐かない」
「……そうしてくれ。俺だって、これから先も無条件にお前のことを信じたい」