危ナイ隣人
「うん」


「……キスシーンとかは、まぁ、フツーに嫌だけど。あらかじめ言ってくれてたら、大抵のことは送り出すから」


「ナオくん……」


「俺と付き合うことで、お前が子どもでいられる時間を奪ったりはしたくねぇんだ」



胸が、いっぱいになる。


どうしたって縮まらない7つ年の差を、ナオくんは真剣に考えて向き合ってくれている。

私が大人になるまで、待とうとしてくれている。


私、幸せ者すぎない?



「ナオくん。ぎゅってしていいですか」


「え。は……?」


「タイムオーバーです」



はっきりとした返事を待つことなく、逞しい胸元に勢いよく飛び込む。


突然の衝撃にびっくりした様子を見せながらも、ナオくんはしっかりと抱き留めてくれた。



「びっ……くりしたー……」


「…………」


「……茜?」



机に腰掛けたナオくんと、立ったままの私。

いつもは高くて届かない肩に、ぽすんと顎を乗せた。



「私の身長が、2メートルあればいいのに」


「ぶっ」



すぐ耳元で、勢いよく吹き出したナオくん。

その体は小刻みに揺れている。



「おま……なに、いきなり」


「そんなに笑わないでよ。こっちは真剣なんですけど」


「なら尚更心配だわ」



ククッと喉を鳴らしながら、ナオくんの右手が私の髪を撫でる。


その優しい手つきに、また胸がきゅってなるんだ。
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