危ナイ隣人
「じゃ、私達そろそろ帰るね。勉強の邪魔しちゃ悪いし」


「ほんと、わざわざ来てくれてありがとね」


「ぜーんぜん。また落ち着いたら盛大にパーティーしよ!」


「あはは、期待してるよ」



真帆とくるみの後ろ姿を見送って、私も部屋に戻った。





ケーキの箱の中身は、ショートケーキとフルーツタルト。


白い箱の中身は、ピンクをベースとしたアイシャドウの5色パレットだった。

女子憧れのブランドで、高校生には簡単に手を伸ばせないような価格帯だったはず。


それでも、私に似合うって2人で選んで、買ってくれたんだ。

2人の気持ちが、本当にほんとうに嬉しいよ。



高校を卒業したら別々になるし、頻繁に会えなくなっちゃうかもしれないけど……それでも、2人とはいつまでも友達でいたい。

ずっと、このまま。





誕生日当日、私が403号室を訪れたのは17時半を回ってからだった。



「ごめんね、遅くなっちゃった」


「いや。お疲れ」



リビングの扉を開けると、ちょうどナオくんがベランダから部屋の中に戻ってくるところだった。


禁煙は今のところ成功し、ベランダの灰皿も処分するか迷ってるって言ってたくらいだから……洗濯物かな。

出会った頃のことを思えば、ナオくんの生活が保たれてることに安心するよ。



「晩飯の用意とか、してきてねぇよな?」


「うん。勉強がひと段落して、すぐに来たよ」


「よかった。寿司買ってきてあるから、こっちで食べようぜ」
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