危ナイ隣人
すどんと腹の中に重石が乗っけられたみたいに、うまく息を継げないや。


静かにテンパっている私の言葉を、大家さんもまた静かに待ってくれていた。


ええい、どうにでもなれっ!



「家のフローリングのことなんですけど……!」





「あちゃー、これは派手にやったねぇ……」



404号室に招き入れ廊下の惨状を見せるなり、大家さんがそんな声をあげた。


ですよね、と小さく肯定することしかできない。



「お風呂のお湯を溢れさせたってことだったよね?」


「はい……すみません」



廊下にしゃがみこんで、フローリングの傷み具合を見る大家さん。


私はその様子を眺めながら、縮こまることしか出来ない。



修理ってなったらお金かかるよね。いくらだろう、払えるかな。

大丈夫にしても、お父さん達には連絡しないとだよなぁ……気が重い。


またまたずどーんと重石を置かれた気分になっていると、大家さんがパッと立ち上がった。



「たぶん、原因は浸水だろうね」


「ですよね……」


「でも、一度水に濡れたくらいじゃさすがにこんなに酷くならないよ。多分だけど、元々フローリングが傷んでいたところにその出来事が起こって、ダメ押しになったんじゃないかな」
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