危ナイ隣人
幸い、お風呂は故障とかしてないみたいだし、他に被害もない。


明日の朝イチで買い物に行って、食料とか買い込んであとは部屋に引きこもって、極力廊下を通らないようにすればいいんだ。



不安ではあるけど……顎を引いて、無理矢理にでも自分を納得させる。


何とかなる。工事だって、きっとすぐに来てくれる!

そう自分に言い聞かせて、その夜を明かした。





昨晩の残りのご飯を温めて、おかずに作ったのはたまごやき。

それらを平らげて、食後にココアでも淹れよっかなーなんて思っていた時、


──ピーンポーン……

家の中に、チャイムの音が鳴り響いた。



「お客さん?」



キッチンから顔を出して、リビングに取り付けられているインターホンのモニターを覗き込むけど、何も映っていない。


え、気のせい? でっかい空耳?

引越しの時以来、初めて鳴るチャイムに困惑していると、すぐにまた同じ音が鳴った。



もしかして、



慌ててリビングを飛び出して、廊下に出る。

傷んだフローリング部分をひょいっとジャンプして、玄関に出したままだったスリッパを引っ掛けた。


チェーンロックを外して扉を開けると、



「はよ」
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