危ナイ隣人
「……すげぇな、予想以上だったわ」



少しの沈黙の後、ナオくんがぽつりと呟くように言った。


そうだよね。やっぱりそんな反応になるよね! 超わかる私もそうだった!



「どうすんのコレ」


「あー……。一応大家さんに話して、フローリングごと変えてもらうことになった。工事がいつになるかは、まだわかんないんだけど」



知らせると、ピクッとナオくんの眉が動いた。



「いつかわかんねぇって、それまで放置?」


「しょうがないけど、そういうことになるかな」



あはは、と力なく笑うことしかできない。


そんな私を見て、ナオくんが深いため息を吐いた。



「工事が終わるまで、うちに避難しとけ」



私から向かって右側……つまり、403号室の方を親指で差したナオくん。


あ、デジャヴ。

そう思った頃には、頭は今し方鼓膜を震わせた言葉の意味を理解していた。



「なっ……何言ってんの! そんなことできるワケないでしょ!?」


「なんで? 昨日はうちに泊まったろ」


「あれは一晩だけのつもりだったからで……!」



少し打ち解けたとはいえ、ただの隣人にそこまで迷惑かけることなんて出来ない。
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