危ナイ隣人
「わかった。その時は、私の肥やしにするから気にしないで」


「おぉ、それは頼もしいな」


「ちょっと。そこはフォローしてよ」



ぱんっとお腹を叩いてみせると、ナオくんが笑って、気がつけば車内の空気はいつもの調子に戻っていた。



「そういえば、お互いの連絡先知らないよね。ご飯いらない時とか連絡できるんだったらしてほしいし、後で教えてよ」


「そういえばそうだなぁ。言っとくけど、俺の連絡先は高いぞ」


「どれだけ高額だろうと、きっちり売り捌いてやるわ」


「悪用反対ー」



これだから最近の若者は……なんて真顔で言うナオくん。

いやいや、あんたも世間一般から見たら若者でしょーよ。



スーパーには10分ほどで着いて、この際だからって色々買い足した。


払うよって言ったのにお金は全部ナオくんが出してくれて、せめて荷物持ちはしようと持ち上げたお米を、ひょいっと横からかっさらわれた。

俺が何のために鍛えてると思ってんだ、なんてセリフ付きで。そんなの、教えてもらってないから知らないよ。



連絡先は、家に帰ってから交換した。アプリの登録名は『真木直也』。

アイコンも設定されてなくて、私の登録欄では少し異様なシンプルさだった。


追加してる友達はみんな、自撮りだったりスタパを並べたアイコンだし、名前だって漢字フルネームの人はいない。
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