危ナイ隣人
近藤のアイコンは去年の文化祭の写真だし、名前だってローマ字だ。同世代の男子って、大体みんなこんな感じ。

こういうところでも、年齢の差って感じるものなんだなぁ……。



「何かあったら連絡入れるわ」

私の連絡先を登録する時、ナオくんはそう言った。


そして、『何かあった』時の連絡は、意外にもすぐに来た。





【たぶんしばらくかえれない。めし不要】



ナオくんと連絡先を交換して、3日が過ぎた頃。

彼が初めて私のスマホを鳴らした。
 

遠くに雨音を聞きながらアプリを開くと、メッセージが入ったのはつい3分前のこと。

端的な文章にらしさを感じながら、忙しい中送ってくれたものであることを理解する。



「……どういう状況にいんのよ」



ハードボイルドなイメージしか思い浮かばなくて、思わず苦笑してしまう。

いよいよ敵陣に乗り込む時が来た、的な?

そうならなければいいって言ってたから、逆のパターン?



「いやいや、そんなドラマみたいなこと……」



ないない、あるわけないよ。我ながら想像力豊かすぎるっての。



「……お風呂入ろ」



給湯器の使い方は、ちゃんとナオくんが教えてくれた。

スイッチを入れて、お風呂場の蛇口を開ける。

たったこれだけだったのに……なんであの時、わかんないって片付けちゃったんだろう。私のバカ。
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