危ナイ隣人
「何騒いでんだー。終礼始めるぞ!」



バタバタと担任の先生が教室に入ってきて、私達は慌てて自席に戻った。


色々な連絡事項を伝えた後、先生がいつになく真剣な表情で言う。



「大雨警報が発令されて、午後が臨時休校になったわけだが……くれぐれもまっすぐ家に帰るように。間違っても遊びに行ったりするなよ」



どこからともなく「はーい」という返事が飛ぶ。


そのまま挨拶をして、解散となった。





真帆の言っていた通り、午後からは更に雨が激しくなった。


誰かが神様を怒らせたの? ってくらい、バケツをひっくり返したような雨が降っている。


ソファーに腰掛けて見た夕方のニュース番組では、いくつかの川が氾濫寸前という情報がずっと流れていた。



「これ、隣の市を流れてる川だ……」



テレビに映る川の映像。その横には、知った川の名前。


堤防が何とか水を堰き止めているけれど、いつ氾濫してもおかしくないような状況みたいだ。



「…………」



去年も一昨年も、こういう映像を見た。川が決壊して、街が水に沈んだ。


その時は人ごとのように考えていたけれど……今は、人ごとじゃないんだ。



認識するとゾッとして、足元がひんやり冷えていく。
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