危ナイ隣人
「世間の目って、お前が思ってるよりもずっと怖いんだぞ。万に一つもないことを勘繰られでもしてみろ、俺が悪者にされるに決まってる」


「世間様に何かされた過去でもあんの?」


「ないけど。もしそうなったら、Aカップのガキにはミジンコほども興味はありませんって泣きながら弁解するわ」


「その場合、未成年へのセクハラで捕まるだろうね」



相変わらずのガキ扱い。Aカップって言われるのも、もう何回目?



「……まぁいいや。これ、返すね」



パーカーのポケットに突っ込んでいたキーケースから、403号室の鍵を外す。


むき身になったそれを差し出すと、ナオくんは深く息を吐き出しながら受け取った。



「飯食うって、どうせ俺んちだろ?」


「そうだけど……」


「だったら、そのまま持ってれば? 毎回鍵開けるのもめんどくせーし、俺どっか行ってるかもしれねーし」



え。


ナオくんの口から飛び出したのは予想外の発言で、突き返された鍵をぽかんとしたまま受け取ってしまう。


私のことはしょうがないとして、家にオンナを入れたくないって言ってなかったっけ。

いや、ナオくんが私のことを女として見てないことは重々承知なんだけど。

私も、そんなつもりはまっっったくないんだけど!



「さすがに……」
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