危ナイ隣人
「お前こそ、気ィ遣うとからしくねーぞ。悪者にされるのはごめんだし、まだ捕まりたくないから、制服だけは着替えてほしいけどな」


「まだって、捕まる予定でもあるの?」


「あぁ、オンナを虜にしすぎた刑でな」


「うわぁ」



声は口をついて出た。

軽蔑の眼差しを向けてみても、ちっとも効いてないんだからすごいよ。

その自信満々な感じ、もはや才能だと思います。



「じゃあ……一応、もらっとく。来るときは、先に連絡入れるようにするね」


「おー」



403号室の鍵を、再びキーケースのホルダーに取り付ける。


つい2ヶ月前までは、ここに実家の鍵が付いているのが普通だった。

けど今は、404号室の鍵と、似た形の403号室の鍵が隣り合わせでいるのが、あたりまえになっている。


2つあるのが、今じゃしっくりくるなぁ。



「いつでも出入り出来ることだし、散らかったら頃合い見て掃除しに来てくれな」


「ル●バ買え!!!」



……とまぁこんなわけで、居候生活が終わった後もたまに晩ご飯を一緒に食べる約束をしたことで、私達の関係はゆるゆると続くことになった。





11月の半ば、遂にくるみがキレた。



「いい加減遊びに行かせてよぉ〜!」



ぷくぅ! と頬を膨らませて、ずいずいと詰め寄ってくる。


くるみの顔がドアップで、背後に見える真帆がやけに小さく見える。


助けて真帆……!

と思ったけど、肩を竦めて傍観の姿勢。
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