危ナイ隣人
早めにお鍋を平らげて、お腹に余裕が出来た頃にデザートにとりかかる算段だ。

この際、時間とかカロリーなんか気にしない。

美味しく食べればゼロカロリーだもん。



「御山ぁ、俺らもなんか出来ることない?」


「んー、じゃあ野菜でも切ってもらおっかな。そっちのテーブル片付けるから」


「近藤って、包丁使えんの?」



キッチンを覗き込んで、手伝いを買って出てくれた近藤。


リビングのローテーブルで作業してもらおうと提案すると、私の陰から顔を出した真帆が横槍を入れた。



「使えるし! ネコの手だろ!」


「めっちゃドヤ顔だけど、それ基礎中の基礎だからね?」


「基礎出来てれば完璧じゃん」


「太一の口から、料理とか一回も聞いたことない」



今度は塚田くんの応戦が。

様子を伺うと、カーペットの上に腰を下ろして、何やら机の上の雑誌やリモコンなんかを片してくれているみたいだった。


 私の声聞こえてたのかな。さすが、クールでスマートな感じ。



「なんで昴までそっちの味方なんだよ!」


「べつに味方してるわけじゃないけど。何か判別できない具材は嫌だなって思っただけだ」


「なんの野菜かわからなくなるようなアクロバティックな切り方しないから!」



必死で抗議する近藤に、塚田くんは涼しい顔で応えている。


そんな2人のやりとりを、私達女子チームはニヤニヤ見守る。
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