片隅にだけでも

「じゃあ志望動機から聞こうか」

「うーん…家が、近いから?」

バイト面接で志望動機なんて聞かれたの初めて!

そんなの考えてないし…。

これが私、何でも何とかなるって考えずに突撃ッ!
当たってダメなら砕けてみろ?の精神。

そんな私におじさんはクスッと笑う。

「素直だね、私も最近決められたことばかり言う人が多くて、決めかねていたんだ」

「そ、そうなんですか?」

「あぁ、だから永原さんの答えで笑ってしまったよ
。すまないね」

「いえ、私も馬鹿みたいな答えでしたし」

狭い部屋に多少の笑みが溢れて明るく見える。

「もういっか。永原さん採用しよ」

「え、本当ですか!?」

「うん、また連絡するからその時いつから働けるか教えてもらっていいかな?」

「はい!ありがとうございます!」

ほらね?
何も考えなくても上手くいくんだよ!

「それでは、お疲れ様」

「お疲れ様でした!」

椅子から立ち、深めのお辞儀をして事務所を去る。
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