きみの知らないラブソング


優太のことが好き。
だけど、それと同じくらい茉衣は広菜が好きだ。

広菜もまた、同じだろう。




「本当にごめんね」

「私こそ・・・ごめんね、広菜」




お互いにうんうんと頷き合って笑い合う。
最後のほうは何も話をしなくて。
だけど言葉以上に分かり合える何かがあった。



少しの間離れていても。またいつでも近付ける。
これからもそんな関係でいたいと茉衣は願った。


そっと、電話を切る。









窓越しに見える夏空はさっきよりも輝いていた。




< 37 / 38 >

この作品をシェア

pagetop