きみの知らないラブソング
変だ。気にしてしまうなんて。だがそれでも気になってしまっているのだから仕方ない。
「ねぇ広菜」
茉衣は頭よりも先に口を動かしていた。
広菜と視線がぶつかる。
「あの子も誘ってみない?」
いつも誰かからの指示を待っているような性格の茉衣が、自分から行動に移すなんて珍しい。明日は大雨かもしれない、なんて心の中で呟いた。きっと広菜も同じことを思っているだろう。
「うん、いいんじゃない?」
広菜は不思議そうな顔をしていた。
広菜以外のみんなからも賛同を貰った茉衣は、席から少し体を乗り出して彼に視線を向けた。思いついたときの勇気がなくならないうちに急いで彼に声をかける。
「あの・・・お弁当、一緒に食べない?」
本のページをめくる手が止まった。
突然のことに驚いたのか、彼もまた少し目を見開き不思議そうな表情を浮かべている。その表情が相変わらず綺麗で、茉衣は一瞬口を噤んで彼に見惚れた。
そして慌ててもう一度口を開く。
「あっ急にごめんなさい!せっかくだしみんなで食べたほうが美味しいかなと思って」
「あ、うん」
彼は小さく頷いた。嫌そうではない。ただ何となくぎこちなかった。茉衣のことをじっと見て、それ以上は何も言わない。
思った。
同じだ、茉衣と。
彼はきっと、人見知りなのだ。
「ねぇ広菜」
茉衣は頭よりも先に口を動かしていた。
広菜と視線がぶつかる。
「あの子も誘ってみない?」
いつも誰かからの指示を待っているような性格の茉衣が、自分から行動に移すなんて珍しい。明日は大雨かもしれない、なんて心の中で呟いた。きっと広菜も同じことを思っているだろう。
「うん、いいんじゃない?」
広菜は不思議そうな顔をしていた。
広菜以外のみんなからも賛同を貰った茉衣は、席から少し体を乗り出して彼に視線を向けた。思いついたときの勇気がなくならないうちに急いで彼に声をかける。
「あの・・・お弁当、一緒に食べない?」
本のページをめくる手が止まった。
突然のことに驚いたのか、彼もまた少し目を見開き不思議そうな表情を浮かべている。その表情が相変わらず綺麗で、茉衣は一瞬口を噤んで彼に見惚れた。
そして慌ててもう一度口を開く。
「あっ急にごめんなさい!せっかくだしみんなで食べたほうが美味しいかなと思って」
「あ、うん」
彼は小さく頷いた。嫌そうではない。ただ何となくぎこちなかった。茉衣のことをじっと見て、それ以上は何も言わない。
思った。
同じだ、茉衣と。
彼はきっと、人見知りなのだ。