青いチェリーは熟れることを知らない①
エントランスから始まる王子との恋物語
一度部屋に戻ったちえりはクリーニング済みのスーツをクローゼットの奥へ押し込むと、そのまま急いでエントランスへと向かった。
高級ホテルとも見紛うほどに立派なエントランスのソファはとても座り心地がよく、待つ時間も快適に過ごせるほどに素晴らしかったが、いつもここにいるちえりの心は嵐のように波風だっている。
あたたかな間接照明に照らされたそこでガラス越しに外を眺める。
「センパイから……連絡来てない。迎えに行こうかな……」
まるでいまのちえりは王子様が迎えに来てくれるのを待っているしかない村の娘のようだ。
身分違いな片想い。勝手に王子へ想いを寄せる"幼馴染"ということに胡坐をかいた図々しい田舎娘。
「いっそのこと王子様を迎えに行く村の娘っていうのも有りだべか……」
迎えに来られた王子はなんと答えてくれるだろう? と考える。
「待っていたよ村娘その1? こんな物語があってたまるか! なんて……物語が崩壊してる感じが……」
なんて乏しい空想だろうと思いながらも、迎えに行こうと決心したちえりは思い切り立ち上がった。
するとその刹那――
「待たせてごめん、若葉ちえりさん。かな?」
わずかに息が上がって肩を上下させた瑞貴がはにかむような笑顔でエントランスの入口に立っていた。
「王子様……じゃなくてっ……センパイ!」
「ははっ、相変わらず面白いなチェリー。王子様って俺が?」
ゆっくり近づいてきた瑞貴はそのままちえりの体をゆったりとした動作で抱き締めた。
「わわっ!! ど、どうしたんですかセンパイ!?」
(鍋の匂いくっさーっ! とか思われてないべかっっ!! ぎょえっっ!!)
どうせなら体の隅々までお風呂で磨いてから抱きしめてもらいたい!! などと願望を呪文のように唱えながら、空いた手で瑞貴の背を抱き締める。
「回りくどいことしてごめん。俺、チェリーが好きだ」
瑞貴の優しい言葉が終わる前に、その腕は力強くちえりの体を抱き締めた――。
☆☆☆【青いチェリーは熟れることを知らない②~春が来た!と思ったら夏も来た!!~】へ続く☆☆☆
高級ホテルとも見紛うほどに立派なエントランスのソファはとても座り心地がよく、待つ時間も快適に過ごせるほどに素晴らしかったが、いつもここにいるちえりの心は嵐のように波風だっている。
あたたかな間接照明に照らされたそこでガラス越しに外を眺める。
「センパイから……連絡来てない。迎えに行こうかな……」
まるでいまのちえりは王子様が迎えに来てくれるのを待っているしかない村の娘のようだ。
身分違いな片想い。勝手に王子へ想いを寄せる"幼馴染"ということに胡坐をかいた図々しい田舎娘。
「いっそのこと王子様を迎えに行く村の娘っていうのも有りだべか……」
迎えに来られた王子はなんと答えてくれるだろう? と考える。
「待っていたよ村娘その1? こんな物語があってたまるか! なんて……物語が崩壊してる感じが……」
なんて乏しい空想だろうと思いながらも、迎えに行こうと決心したちえりは思い切り立ち上がった。
するとその刹那――
「待たせてごめん、若葉ちえりさん。かな?」
わずかに息が上がって肩を上下させた瑞貴がはにかむような笑顔でエントランスの入口に立っていた。
「王子様……じゃなくてっ……センパイ!」
「ははっ、相変わらず面白いなチェリー。王子様って俺が?」
ゆっくり近づいてきた瑞貴はそのままちえりの体をゆったりとした動作で抱き締めた。
「わわっ!! ど、どうしたんですかセンパイ!?」
(鍋の匂いくっさーっ! とか思われてないべかっっ!! ぎょえっっ!!)
どうせなら体の隅々までお風呂で磨いてから抱きしめてもらいたい!! などと願望を呪文のように唱えながら、空いた手で瑞貴の背を抱き締める。
「回りくどいことしてごめん。俺、チェリーが好きだ」
瑞貴の優しい言葉が終わる前に、その腕は力強くちえりの体を抱き締めた――。
☆☆☆【青いチェリーは熟れることを知らない②~春が来た!と思ったら夏も来た!!~】へ続く☆☆☆
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New!2/24 画像を追加させていただきました。
(タイトルの後ろに ※あり)
―――すべての女性に捧げる
乙女ゲームのような恋物語―――
『狂気の王と永遠の愛(接吻)を』
五大国から成る
異世界の王とたった一人の少女の織り成す
恋愛ファンタジー
――この世界は強大な五大国と、各国に君臨する絶対的な『王』が存在している。
彼らにはそれぞれを象徴する<力>と<神具>が授けられており、その生命も人間を遥かに凌駕するほど長いものだった。
この物語は悠久の王・キュリオの前に現れた幼い少女が主人公である。
――世界が"何か"を望んだ時、必ずその力を持った人物が生み出され……すべてが大きく変わるだろう。そして……
その"世界"自体が一個人の"誰か"かもしれない――
出会うはずのない者たちが出揃うとき……その先に待ち受けるものは?
最後に待つのは幸せか、残酷な運命か――
そして次第に明らかになる彼女の正体とは……?
2016.11.14 Start ~
★☆★こちら【第一章】 狂気の王と永遠の愛(接吻)を は、
狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一章】の加筆改正版
となりますのでよろしくお願いします★☆★
作品番号:1362801 にて
【第二部】の連載がスタート致しました。よろしくお願い致します(*'-'*)
*★*―――――*★*―――――*★**★*―――――*★*―――――*★*
【同時進行中・関連ストーリー】
◆狂気の王と永遠の愛(接吻)を
イメージ画集とつぶやきの場(イラスト有)
◆【ファン登録様限定】狂気の王と永遠の愛(接吻)を・シークレットストーリー
◆狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~
◆狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録(本編での+α部分まとめ)
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【第二章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
―――すべての女性に捧げる
乙女ゲームのような恋物語―――
五大国から成る
異世界の王とたった一人の少女の織り成す
恋愛ファンタジー
―――この世界は強大な五大国と、各国に君臨する絶対的な『王』が存在している。
彼らにはそれぞれを象徴する<力>と<神具>が授けられており、その生命も人間を遥かに凌駕するほど長いものだった。
そしてその力の性質をあらわす二つ名が存在し、しばしばその名で呼ばれることもある。
<夢幻の王>エクシス <慈悲の王>キュリオ
<心眼の王>マダラ <革命の王><雷帝>エデン
<紅蓮の王>ティーダ
【第一部】あらすじ
五大国・第二位、心優しき悠久の王キュリオの手によって助け出された身元不明の赤子アオイ。
キュリオは彼女の身元を調査するべく他国へと使者を派遣するが、それぞれの王の返事は意外なものだった―――。
―――世界が"何か"を望んだ時、必ずその力を持った人物が生み出され…すべてが大きく変わるだろう。そして…
その"世界"自体が一個人の"誰か"かもしれない―――
先代・セシエル王の言葉を思い出しながら数奇な運命のもとに生まれた幼子・アオイを守ろうと決意するキュリオ。
そして【第一部】で見え隠れした謎の人物・センスイらの存在。
出会うはずのない者たちが出揃うとき…その先に待ち受けるものは…?
そして最後に待つのは幸せか、残酷な運命か―――。
前作:【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
作品番号:1126950
【同時進行中・関連ストーリー】
◆狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~
◆狂気の王と永遠の愛(接吻)を・センスイ編収録(本編での+α部分まとめ)
◆狂気の王と永遠の愛(接吻)を
イメージ画集とつぶやきの場(イラスト有)
◆【ファン登録様限定】狂気の王と永遠の愛(接吻)を・シークレットストーリー
表紙を見る
【狂気の王と永遠の愛(接吻)を】
【シークレットストーリー】
New!
9/3更新しましたっ(・∀<*)-☆
❤こちらはファン登録者様限定公開のシークレットストーリーです。本日9/3よりパスワード無しの設定へ変更したため、逢生ありすへファン登録してくださった皆様へお待たせすることなくお読みいただけるようになりましたっ(〃Д〃人)今度とも是非よろしくお願いいたします❤
◆本編とはまた異なる時間の流れを行く物語ですが、決して"もしも"の物語ではございませんっっ
◇キュリオ様が❤大好き❤な方にオススメなシークレットストーリーとなっております(*'ω'*)
※キュリオ様が浮気されるお話などではないので安心してご覧くださいっっっ!!
日頃の感謝を込めまして、ファン登録してくださった皆様にへとお礼を含めた物語枠でございます(´,,>ω<,,`)
❤新たにファン登録してくださった皆様へ❤
登録者様が一定に達しましたらご挨拶メールを配信させていただきますので少しお待ちくださいねっ('-^*)-☆
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2025/1/20 手直しの上、再掲いたしました
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完結しました!
お付き合いいただきありがとうございました。
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小弓川 梓(こゆみかわ あずさ)(24歳)
カフェで働くシングルマザー。
娘の和を大切に育てている。
七瀬 和臣(ななせ かずおみ)(26歳)
梓の高校時代の先輩。
当時の生徒会長。
大学卒業後、警察に入り、SPとして活躍中。
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活発で社交的な性格。
※設定年齢は初登場時のものです(時系列により前後あり)
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