[短]ダメな男

咲と出会ったのは
大学の入学式だった。

真新しいスーツに身を包んだ
咲は強い眼差しで
ジャンヌダルクのようだった。


まあ実際
ジャンヌダルクは知らないけど。


俺はその女戦士に
挑めなかった。

咲を想いながら
他のオンナを抱いた。


よくわかったのは
満たされないことだけ。


咲はこんな汚れた俺を
受け入れてくれるのか
不安だったけど
聖母マリアのように
俺を包んでくれた。


まあ実際
聖母マリアは知らないし
聖母マリアに
包まれたこともないけど。
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