[短]ダメな男

唯と呼ばれた少女を
目の当たりにした瞬間
ドキッとした。

瞬間。
俺はすばやく指輪を外した。

女子高生とは思えない
色っぽさと
バンビみたいなくりくりで
まつげバサバサの目に
吸い込まれそうだった。


『こちらが彼氏の春夜で
悪友の心一くん』

目の前の男を紹介されて
唯と呼ばれる少女は

「初めまして。
廣瀬唯です」と
普通の挨拶をした。

春夜と夢華はドリンクを取りに
中へ先に入った。


『あのさ。
唯ちゃん、女子高生だよね?』

二人きりになった俺らは
しばらく沈黙だったけど
俺は唯のことが知りたくて
質問攻めにした。

ライブ前にわかったことは
彼氏がいないこと
バイトはしてないこと
夢華とはクラスは違うこと
ライブは初めてなこと


それくらいかな。


俺は彼女はいないって言った。
まあ咲は彼女じゃなくて
嫁だしな。
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