幼なじみの優しい彼 2
1番後ろの席にいて、2人の話に聞き耳を立てていた私は1番前の席の海のところへ猛ダッシュした。

ゼーハー、

息も切れ切れになりながら、素早く海の体操服の入ったバッグを雪美から取り返した。

「ダメ、体操服なんて借りて、あんた変なことする気でしょ!?そうはさせないんだからね」

「はあ?何言ってんの?ヒカリ、バカじゃないの?」

「何がバカよ。この変態女。海の体操服をギューしたりスーハーする気でしょ。絶対絶対許さないんだから」

「そんなことするわけないでしょ。ジャージの上を借りるだけでしょ。早くよこしなさいよ、時間ないんだから」

雪美が、顔を真っ赤にして怒っているけれど、知ったこっちゃない。

クラスのみんなが、ニヤニヤ笑いながら成り行きを見守っているけど、そんなの気にしない。

海の体操服は、絶対に私が、死守するんだから。

私は、そのバッグをギュッと抱きしめて、絶対とられないように身構える。
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