幼なじみの優しい彼 2




「重い~っ」

その日の5時間目が始まる前、私は先生のいいつけで化学室の実験道具を一人で運んでいた。

いつもなら優しい幼ななじみの海が、手伝ってくれるものだから先生にこういった雑用をよく頼まれるんだ。

先生から見たら、私と海はいつもセットみたいに思われているものだから始末が悪い。

えーん、今日は喧嘩してるんだってば―。だけどこんな困ったときだけ海に頼むわけにはいかないよね。

「あー、重いよ、先生ったらか弱い女の子一人で持てるわけないじゃん。大体なによっ。いっつも私ばっかり。。。ブツブツブツ」

1人文句を言いながら、実験のビーカーやらバーナーやらが入っている大きな段ボール箱を運んでいた。

化学室に行くために、階段を降りようとしてそろそろと移動していたら後ろから私を呼ぶ声がした。

あっ。

これは、私の大好きな声だってすぐにピーンときたけれど、わざと振り返らなかった。
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