アホほど美少女が転校してきた話
「……あ、あの、神無月さん? ち、近いんデスケド……」
これ以上近づかれると私、新たな扉が開きそうな気がして怖いんですが……!
神無月さんは顔を赤くして目を逸らす私に驚いて、素早く離れてくれた。私の顔を熱が引いていく。腕を組んでなぜか少し頬を赤くした神無月さんは、「ふんっ」と息を吐いた。
「…………まぁいいか、そういうことで。バレちゃったらしょうがないよね。じゃあこの際言っちゃうんだけど……加奈ちゃん」
「は、はい」
神無月さんは、にっこりと笑う。それはもう天使の微笑みだ。
常人には出せないキラキラパワーで、私の心を鷲掴みにしてくる。胸がキュンキュン高鳴って止まらない。鼓動が早くなる。顔が熱くなって、彼女の顔から目が逸らせない。
今までの神無月さんは練習だったのだ。本気を出した神無月さんの笑みには、性別はもちろん、種族さえも超える力を感じる。
現に私は、神無月さんを見て……ときめきを感じてしまっているのだ。
正直、そこまでしなくても……。と思っていたクラスメートの行動が理解できてくる。
どうしよう、これは、もしかして……恋!?
「わたしと、付き合ってくれない?」
――――――ゑ?
これは夢だ。私の神無月さんへの思いが見せた、幻覚だ。そうに違いない。