私は醜いアヒルの子
透き通ったその声が風によって中庭の端まで行き届いた。

そして始まる──────────

「おはよー!今日も元気に眠れたっ?」
ピョコンと人差し指程の大きさの妖精が草から飛び出た
その男の子の妖精は縁側に座る少女の肩にぶら下がって遊び出した。
オレンジがかった金髪は、明るい性格を表しているようにさえ感じられる

「馬鹿じゃないの。眠るのに元気とかないでしょ」
ふわりと花の香りを漂わせながら違う草から出てきたもう1人の妖精が突っ込む
柔らかく巻かれた金髪が透き通った綺麗な羽とよく似合う

そのやり取りを見てクスクスと笑いながら問いかける。
「毎日同じやり取りをして飽きないんですか?」

「だってピーターがバッカなんですもの!」
キッと少女を見上げ声を張り上げる可愛らしい妖精に対し、ピーターは
「別にいーじゃんか。ティンクが勝手に気にしてるだけだよ」とブーブー文句を言う。
はあ?!キレ気味なったティンクを慌ててなだめる。

「ちょっと二人とも、まだ寝てる子達いますよ」小声で訴えると二人とも我に戻ったのか静かになった。

喧嘩するほど仲が良い、ね
この2人を見るといつもそう思うのだ。
大人しくなった2人を横目で見て「じゃあ私はもう行きますね」と立ち上がる
< 3 / 72 >

この作品をシェア

pagetop