初恋をもう一度。【完】
外はもうすっかり暗くなっていた。
申し訳程度に施された街路樹のイルミネーションが、美しくライトアップされている。
すれ違うのはカップルばかりで、みな駅へと向かって歩いていく。
どうせこれから小山辺りでディナーなのだろう。
それか大平のイルミネーション。
「今日は世間がやたらリア充に見えるよ」
わたしがメッセージを送ると、
『奈々ちゃん、もしかして寂しいの?笑』
と、からかうような返事が送られて来た。
「寂しくないもん」
『ふーん?笑』
「ほんとに。でも羨ましい」
『そうなの?』
「うん。あ、ただいま」
『おかえりー』
家に着いてからも、鈴木くんとのメッセージのやり取りは続いた。
「だって、去年のイブも、バイトして家に帰っただけだったんだもん」
『あはは。ってまあ、去年は俺も家にいたけど』