初恋をもう一度。【完】
「ね、びっくりした?」
「うん、心臓が爆発しちゃいそうだった! ねえ、バイトって嘘だったの?」
「ううん。早上がりしてすぐ新幹線」
「もしわたしが予定入れちゃってたらどうしてたの?」
「あはは。泣きながらトンボ帰り?」
わたし達はもう6年前とは違っていた。
あの頃はあんなにも戸惑いながら話をしていたのに、今はとても自然に会話が弾む。
こうして手だって繋げる。
お互いの外見も年齢も距離も、何もかもがあの初恋とは違っていて。
たとえあなたが鈴木くんじゃなくても、わたしはあなたに恋をしてしまうんじゃないか。
彼と笑い合いながら、ふとそんなことを思った。
これは初恋の続きじゃない。
多分わたしは、もう一度、鈴木くんに恋をしただけ。