初恋をもう一度。【完】
「やっぱお前かー」
シュンと呼ばれた彼は、ニッと人懐っこい笑みを浮かべた。
「お前、こっち来てるなら連絡しろよー」
「わり。シュンに会う時間、取れそうになかったからさ」
鈴木くんは軽く笑って答えた。
どうやらこのシュンくんと鈴木くんは、かなり仲がいいようだ。
「ふーん。デートで忙しいって? つーかリト、いつの間に彼女作った? 報告なしかよ」
こちらに軽く視線を送りながら、彼は少し口を尖らせた。
その言葉に、わたしは首を傾げる。
…………リト?
わたしの聞き間違いじゃなければ、彼は鈴木くんのことを「リト」と呼んだ。
何故「リト」なのだろう。
鈴木くんの下の名前は「ミナト」だ。
あ、もしかしたら「リト」というのはアダ名か何かかもしれない。
そう思ったのに、胸がやけにざわざわと落ち着かないのはどうしてだろう。