初恋をもう一度。【完】

「あー彼女ってか…………奈々ちゃんだよ」

少し苦笑いをしながら、鈴木くんが言った。

「ナナちゃん?……って、え、あの、中1ん時からお前がずーっと好きだったナナちゃん?」

「え?」

わたしは思わず声を上げた。

だって……。

中1の時から?

わたし達が同じクラスになったのも音楽室で話したのも、中学2年の頃の話だ。

その前から、わたしのことを好きでいてくれた?

それはそれで、とても嬉しい。

けれど、なんだろう、この違和感は──。

「ねえ、デートの邪魔しちゃ悪いよ。そろそろ行こ?」

連れの彼女が、シュンくんを促した。

「あ、そうだよな。わりいな! まあまた連絡しろよな。俺もまたそっち行くし!」

「うん、サンキュー。またな、シュン」

鈴木くんと手を振り合い、彼らは去っていった。
< 117 / 210 >

この作品をシェア

pagetop