初恋をもう一度。【完】
「あー彼女ってか…………奈々ちゃんだよ」
少し苦笑いをしながら、鈴木くんが言った。
「ナナちゃん?……って、え、あの、中1ん時からお前がずーっと好きだったナナちゃん?」
「え?」
わたしは思わず声を上げた。
だって……。
中1の時から?
わたし達が同じクラスになったのも音楽室で話したのも、中学2年の頃の話だ。
その前から、わたしのことを好きでいてくれた?
それはそれで、とても嬉しい。
けれど、なんだろう、この違和感は──。
「ねえ、デートの邪魔しちゃ悪いよ。そろそろ行こ?」
連れの彼女が、シュンくんを促した。
「あ、そうだよな。わりいな! まあまた連絡しろよな。俺もまたそっち行くし!」
「うん、サンキュー。またな、シュン」
鈴木くんと手を振り合い、彼らは去っていった。