初恋をもう一度。【完】
「……ねえ、今の人達、誰?」
彼らが公園から姿を消したのを確認してから、わたしは鈴木くんに尋ねた。
「今の? シュン達のこと?」
「うん」
「俺の幼馴染みと、その彼女」
「幼馴染み?」
その言葉にわたしはまた首を傾げてしまった。
わたしは小さい頃から男の子が苦手で、できるだけ近づかないようにしていた。
けれど、鈴木くんに恋をしたことをきっかけに、男子への苦手意識は少し軽減されたのだ。
それに、一学年の人数はさほど多くない。
卒業する頃には、同学年の男子全員の名前と顔くらい、さすがに一致していた。
……あんな人、同じ学年にいた?
そう訊こうとして、でも、幼馴染みが同い年とは限らないことに気がついて訊くのをやめた。
わたしと鈴木くんは小学校までは別々だから、他の小学校出身で他の学年だとしたら、もう知る由もない。
「シュンさ、俺が引っ越してからずっと、年一で東京に遊びに来てくれてんだよね」
「へえ、そうなんだ」
「あ、でも、今年は遊びじゃなくて、夏にうちの葬式に……」
言いかけて、鈴木くんは唇を噛んだ。
「…………」
重たい沈黙が訪れた。