初恋をもう一度。【完】
田崎奈々ちゃん。
あの子の名前を知ったのは、音楽コンクールから1ヶ月くらい経った頃だった。
彼女のクラス、1組には、俺の幼馴染みの恩田一真(おんだかずま)がいる。
「恩ちゃん、数学の教科書貸して!」
「は? また忘れたんけ?」
俺は彼女に会いたくて、何か理由をつけては恩ちゃんのところに行っていた。
だいたいは物を借りに行く。
休み時間に教科書を借りて、次の休み時間に返しに行って、これだけで二回もあの子に会えるからだ。
「はいよ」
「さんきゅー」
「つーか、返すの部活ん時でいいよ。今日数学終わったから」
恩ちゃんの親切な申し出が、ありがた迷惑でしかない。
「あーうん」
曖昧に頷いていたら、視界の端にさりげなく入れていた窓際の彼女が立ち上がって、ゆっくりとこちらに向かってきた。
あの子の名前を知ったのは、音楽コンクールから1ヶ月くらい経った頃だった。
彼女のクラス、1組には、俺の幼馴染みの恩田一真(おんだかずま)がいる。
「恩ちゃん、数学の教科書貸して!」
「は? また忘れたんけ?」
俺は彼女に会いたくて、何か理由をつけては恩ちゃんのところに行っていた。
だいたいは物を借りに行く。
休み時間に教科書を借りて、次の休み時間に返しに行って、これだけで二回もあの子に会えるからだ。
「はいよ」
「さんきゅー」
「つーか、返すの部活ん時でいいよ。今日数学終わったから」
恩ちゃんの親切な申し出が、ありがた迷惑でしかない。
「あーうん」
曖昧に頷いていたら、視界の端にさりげなく入れていた窓際の彼女が立ち上がって、ゆっくりとこちらに向かってきた。