初恋をもう一度。【完】
奈々ちゃんとのやり取りは不思議な感覚だった。
初恋の奈々ちゃんと喋ってる懐かしさと、顔も知らない女の子と話してるドキドキ感。
俺が知ってる奈々ちゃんは中学2年生で、でも画面の向こうの奈々ちゃんは大学生。
今はどんな顔でどんな声なんだろう。
どんな風に笑うんだろう。
文字だけの判断だけど、奈々ちゃんは昔よりも外向的になった気がする。
あの頃とは少し違う奈々ちゃんとのやり取りは、他愛ない話をしているだけなのにすごく楽しくて、気づけば毎日の楽しみになっていた。
奈々ちゃんに会いたい。
もちろんずっと会いたかった。
でも、その会いたい気持ちは今までとは違う。
初恋の奈々ちゃんだから会いたいんじゃなくて、今の奈々ちゃんに会いたい。
そう思って初めて、俺は画面の向こうの奈々ちゃんに恋をしていることに気づいた。
今の姿も声すらもわからないのに、変な感じだ。