初恋をもう一度。【完】
Chapter5:初恋をもう一度
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逃げるように公園をあとにした。
わざわざ来てくれた理人くんを、置き去りにしてしまった。
でも、あのままあの場に彼と一緒にいられる気がしなかった。
だって……。
『鈴木湊人』くんが、もうこの世にいない?
身内が亡くなったと聞いた時、確かに、もしかしたら兄弟かも、とは思ったけれど……。
それがまさか、わたしがよく知ってる鈴木湊人くんだなんて、思うわけもない。
だって湊人くんと話していると思い込んでいたのだから。
6年前の夏、最後に見た湊人くんの笑顔。
忘れない、忘れられない。
わたしはその笑顔が大好きだったから。
たとえもう会えなくても、どこかで幸せに笑っていてほしかったのに。
「俺は奈々ちゃんがいいな」
あの日の放課後に、男子達の前でそう言ってくれたこと、すごく嬉しかったのに。
湊人くんが亡くなった。
もう二度と会うこともできない。
それはとてもショックで、でも何もリアルじゃなくて、全然うまく理解できない。
だってわたしは、さっきまで『鈴木湊人』くんと一緒にいたと思ってたんだもの。
そう思い込んでいたんだもの。