初恋をもう一度。【完】
*****
……どうすればよかったんだろう。
ベッドに寝転んで白い天井を見上げてても、答えなんて浮かばない。
浮かぶのは奈々ちゃんの顔だけだ。
結局終電に乗り遅れてしまった俺は、仕方なく近くのビジネスホテルに入った。
明日のバイトが午前中からだから、朝早くに戻らなくちゃいけない。
早く寝ないと……わかってはいるけど、目も思考も冴えたままで、全く眠れる気がしない。
全ての真実を打ち明ける……それが俺達3人にとって、いちばんいいことだと思ってた。
だけど、本当はそうじゃなかったのかも。
もしかしたら、真実は奈々ちゃんを傷つけてしまったかもしれない。
俺はあのまま嘘をつき続けて、奈々ちゃんの『鈴木くん』でいた方がよかった?
そんなの不可能だ。
それこそ湊人に改名でもしない限り、すぐにバレてしまう。
二度も奈々ちゃんを騙した俺に、彼女を欲しがる資格なんてないってこと?
全ては遅過ぎたのかもしれない。
……もしも今、6年前のあの日に戻れるなら、俺はちゃんと「弟の理人です」って言えるのに。