初恋をもう一度。【完】

これでよかったのかなんて、全然わからない。

でももう、こうするしかなかった。

6年前も今回も、俺は出だしから間違った。

今回だって、本当は最初から名乗っておけばよかったんだ。

友達申請を受理してもらった時点で、ちゃんと「実は鈴木湊人の弟です」って言えばよかっただけの話だ。

それでも真実は奈々ちゃんを傷つけるかもしれないけど……今よりはマシだった筈だ。

だってそうすれば、『鈴木くん』と奈々ちゃんが恋に落ちることはなかった。

……そんなの、今さら後悔したって遅いけど。

俺はもう、奈々ちゃんがどうしようもなく好き。

そして、真実は伝えてしまったし、兄貴の『月光』もちゃんと渡した。

覚悟してた通り、奈々ちゃんに拒絶された。

俺はお役御免ってことなのかな。

嘘つきな俺が、この先奈々ちゃんの傍にいることなんて許されないのかな。

全部俺が悪い、そんなのわかってる。

だけど……。

たとえ許されなくても、それでも俺は、奈々ちゃんを諦めることなんてできないよ。

*****




< 195 / 210 >

この作品をシェア

pagetop