初恋をもう一度。【完】
これでよかったのかなんて、全然わからない。
でももう、こうするしかなかった。
6年前も今回も、俺は出だしから間違った。
今回だって、本当は最初から名乗っておけばよかったんだ。
友達申請を受理してもらった時点で、ちゃんと「実は鈴木湊人の弟です」って言えばよかっただけの話だ。
それでも真実は奈々ちゃんを傷つけるかもしれないけど……今よりはマシだった筈だ。
だってそうすれば、『鈴木くん』と奈々ちゃんが恋に落ちることはなかった。
……そんなの、今さら後悔したって遅いけど。
俺はもう、奈々ちゃんがどうしようもなく好き。
そして、真実は伝えてしまったし、兄貴の『月光』もちゃんと渡した。
覚悟してた通り、奈々ちゃんに拒絶された。
俺はお役御免ってことなのかな。
嘘つきな俺が、この先奈々ちゃんの傍にいることなんて許されないのかな。
全部俺が悪い、そんなのわかってる。
だけど……。
たとえ許されなくても、それでも俺は、奈々ちゃんを諦めることなんてできないよ。
*****